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2021年 8月24日
「相思相愛」の交流拡充へ
東奥「荒馬の絆~今別町・大川平保存会と県外の若者たち~」
津軽半島北端に位置する青森県今別町・大川平地区の伝統芸能「大川平荒馬」。手綱を握る女性と馬役の男性が2人組で「ラッセラー」の掛け声に合わせて踊り、町を練り歩く。例年夏に開かれる「荒馬まつり」に参加するのは住民だけではない。立命館大などの学生や卒業生ら約100人が大川平を訪れ、踊り手として祭りを盛り上げている。
大川平の人口は10年前と比べ約25%減った。過疎化と高齢化が進む中、県外の若者は荒馬の継承に不可欠な存在だ。住民らを中心につくる「大川平荒馬保存会」と若者の交流は20年以上にわたり続く。立命館大の学生が2000年、荒馬を学ぶために大川平を訪れたことが契機だった。報道部の長内健記者が、大川平と関わり続けようとする若者の活動を追った。3日付から全5回。
長内記者は「荒馬を学ぼうとする人なら誰でも受け入れる保存会の温かさが、若者を引き付けている」とみる。若者の宿泊先も保存会会員の自宅などが通例だった。しかし、高齢となり家を提供できなくなる人が出てきた。長内記者は若者らが中心になり、空き家などを宿泊施設に改修する取り組みを紹介。01年から祭りに参加する愛知県の男性の「保存会の負担を減らし恩返ししたい」との意気込みを報じた。
祭りは新型コロナウイルス禍のため2年連続で中止に。こうした中、京都府と岐阜県に住む立命館大の卒業生は昨秋、宿泊施設整備の活動などを取り上げる新聞を創刊。県外の若者の大川平への思いを地区の全家庭に届ける。長内記者は「会えなくてもつながっていると実感できるツールだ」と喜ぶ保存会会員の声を伝えた。
「保存会と若者の『相思相愛』の関係性は貴重だ」と長内記者。若者の活動に対する読者の理解を深め、「交流をより充実させることにつなげたい」と説いた。(遼)