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2021年 10月12日
商機見いだす企業の奮闘追う
新潟「上越発ECで挑む」
経済産業省によると、2020年の消費者向け電子商取引(EC)における物販分野の取引額は前年より2割以上伸びた。新型コロナウイルス感染拡大に伴う「巣ごもり需要」が市場の成長を支えている。
新潟県の上越地域も例外でなく、地元の商工会議所にはECへの進出を検討する企業の相談が増えたという。8月25日付朝刊から3回に分け、ECに商機を見いだす地元企業の奔走を伝えた。地域人口と交流人口が共に減る中、地域外への販路拡大は必須。「ECで『外貨を稼ぐ』重みが増しそうだ」――。上越支社報道部の渡辺伸也記者(現本社運動部)は連載冒頭にこうつづった。
新潟県上越市に倉庫を構えるEC専門の服飾販売店「エム・エイチ・エー」は今年、過去最多の売り上げに達する見通しだ。積極的に投じた割引クーポンや活発な広告出稿が功を奏した。土地代や人件費が都会より安いなどの「地の利」もあるという。
上越市の花屋「グランプ」の店主・仙田恭一さんは7月、会員制交流サイト・インスタグラムで花の生け方を教える生配信を始めた。きっかけは、インスタで2万人超のフォロワーを持つ主婦に店の花瓶を紹介されたこと。すぐに注文が殺到し、SNSの拡散力を実感した。
渡辺記者は「ECは実店舗の売り上げを補完する存在ではなくなった」とみる。とはいえ、地元企業の取り組みは途上で「成功したと言える例を見つけるのに苦労した」と振り返る。
輸入商材を扱うECサイトを1990年代から自前で手掛けていた男性にも取材。当初先行者としての利益を享受できた。しかし男性は米大手アマゾンとの価格競争に太刀打ちできずに撤退を余儀なくされていた。市場の急伸に潜む「強者総取り」の一面も連載ににじませた。(海)