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2022年 3月22日
需要回復へ 海外輸出に活路
静岡「令和の静岡茶」
静岡県掛川市にある製茶問屋の佐々木製茶は茶系飲料や、海外向けの抹茶の生産体制を強化している。消費動向の変化に対応するためだという。佐々木余志彦社長は「既存の販路に依存できる時代は終わった」と危機感を示し、新たな戦略を模索する。
静岡茶の需要回復に向けた可能性を探る連載。販路を拡大したり、他業種と協業し新商品を開発したりする生産者の取り組みを経済部の平野慧記者が取材した。3月1日付からの第1部は全4回。
静岡県内の茶の産出額は1992年の862億円をピークに低迷が続く。2019年度は251億円とピーク時の3分の1以下に落ち込んだ。背景にはコーヒーや紅茶を扱う大型チェーン店の普及などによる人々の生活習慣の変化があるという。他の飲料が台頭し、消費者の選択肢が増えた。また、平野記者はペットボトル入りドリンク茶の登場で「リーフ茶を急須で入れて飲む習慣も薄れつつある」と記事で指摘した。茶の販売は、農家の荒茶を問屋で加工した後、デパートなどに入る販売店で売るのが主流だった。だが、その消費は年々減っている。「今のままのやり方ではだめ」と問題意識を抱く生産者の声を報じた。
新たな販路として生産者が取り組むのは、新型コロナウイルス禍で健康意識が高まる北米などに向けた海外輸出。佐々木製茶などが力を入れる抹茶は特に売れ行きが好調だという。海外を新たな販路とするにあたり、今後は「有機栽培など輸出先に合った茶作りが求められる」と取材を通じて感じたという。
商業施設や食品会社など他業種との連携、時代が求める茶の新商品の開発も需要の回復に欠かせないと平野記者。連載では、製茶問屋が作った緑茶入りのスリランカカレーや、茶の風味を楽しむ鍋の素も紹介した。(阿)