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2022年 4月26日
裁判への関心 喚起が課題
北日本「18歳成人 とやまの現場から」 3月26~31日(全4回)
2022年4月1日。改正民法が施行され、成人年齢が20歳から18歳に引き下げられた。18、19歳は司法参加や資金の借り入れなどができるようになるとともに責任も負う。社会部キャップの市江航大記者ら4人でつくる取材班が地元の高校生らを取材。期待と不安の入り交じる率直な思いを伝えた。
成人年齢の引き下げに伴い、18、19歳は裁判員に選ばれる対象となる。富山県高岡市の私立高岡第一高校の2年生は昨年8月、童話「白雪姫」を題材に模擬裁判に取り組んだ。
「王妃は白雪姫を殺すため、毒リンゴを食べさせた。白雪姫は意識不明になった。これは殺人未遂罪に当たる」――。検察官が起訴状を朗読すると、被告席の王妃は「殺そうとはしていなかった」と主張。弁護側は「王妃は鏡に話し掛けることがあり、精神障害があった」と訴えるなど、現実さながらの応酬を繰り広げた。
裁判長役を務めた杉木将悟さんは「裁判官は有罪か無罪かの微妙な判断を迫られる。苦労が分かった気がした」と振り返った。他方、「どんな理由でも犯罪はだめ。動機を知りたいとも思わない」と述べた。「高校生の時に裁判員に選ばれたらどうするか」との問いに対し「今は断ると思う」と話した。
市江記者は、犯罪者や裁判への関心の薄さに驚いたという。身近な問題として捉えてもらえるよう「一歩間違えば誰でも犯罪に手を染める可能性がある」ことを伝える必要があると語った。
資金の借り入れやオフィスの契約が可能になったことで、起業に向けた高校生の意識が高まるとの見方も報じた。「権利はただ与えられるものではない。責任を持って行使し、保持するものだと伝えたかった」(市江記者)
法改正が与える影響について検証することもメディアの役割だとし、今後も取材を続けるとしている。(浅)
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