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2022年 5月24日
肉の審査基準 市場変えるか
宮崎日日「てっぺんへ 宮崎牛 '22和牛オリンピック 第1部」4月18~26日(全7回)
「和牛のオリンピック」と呼ばれ、5年に一度開かれる品評会「全国和牛能力共進会」(全共)。肉用牛の経営に関わる農家らが「肉質」の優劣などを競う。全共は今年10月で12回目の開催を迎える。今大会から、これまで配点の低かったうま味を表す指標「脂肪の質」が「肉量」などと同等の審査基準に加わる。主催団体はこの変更について「『新たな枝肉の価値観』の醸成と定着」のためだとしている。
宮崎牛は前回の2017年大会で史上初の3連覇を達成。報道部の那須友紀記者と川原智美記者が畜産農家や農業協同組合(JA)職員らの4連覇に向けた取り組みを伝えた。宮崎牛はふるさと納税や輸出増などで生産量を伸ばし続けている。川原記者は「日本一」の称号を得ることで宣伝効果が生まれるとみる。
脂肪はうま味成分の一つであるオレイン酸などの一価不飽和脂肪酸(MUFA)の含有率が高いほど、風味や口溶けが良いとされる。全共ではMUFAの含有率を競う。審査基準の変更を受け、JA宮崎経済連などは昨年から脂質データの蓄積を始めた。同経済連関係者は良質な脂肪を持つ肉の需要が将来的に高まるとみる。今後の肉用牛の育成に向け「試験的な研究は重要だ」。
だが、農家らは那須記者の取材に「脂質が良くても、霜降りでないと高く売れない」と明かした。「MUFAの含有率は市場価値に反映されていないとの課題が見えた」と那須記者。今年の全共の結果が市場価値にどう影響するかが重要だと述べた。
宮崎牛の生産を今後も主要産業の一つとして維持するため、環境に配慮した農場経営の在り方にも焦点を当てた。発酵した牛のふん尿から発生するガスを発電に生かす酪農家を取材。ウクライナ情勢の影響による物価の高騰で海外から飼料が入りにくい状況を考慮し、焼酎かすを混ぜた和牛の餌を開発した酒造関係者の声も伝えた。(阿)
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