2022年 8月9日
差別に抗議 報道で連帯示す

神奈川「LGBTQ+考 時代の正体」7月8~15日(全5回)

 6月13日。岸田文雄首相をはじめ自民党の国会議員らが参加する「神道政治連盟」の会合で、性的少数者への差別的な見解を記した冊子が配られた。これに対する緊急抗議行動が7月4日、東京都千代田区の同党本部前で実施された。ステージに立ち声を上げた性的少数者らは「自民党は冊子の内容を明確に否定してください」と訴えた。

 整理部の矢部真太記者、市政担当の加地紗弥香記者、小田原支局の沢村成美記者が当事者らに話を聞いた。3氏とも、これまでも性的少数者を巡る社会課題を取材してきた。矢部記者は「与党内で差別的な『眼差し』が共有されたことに対し、報道を通じ抗議したい」との思いがあったと明かす。

 加地記者は性的少数者を取材する中で、非当事者の自分が「当事者の気持ちに踏み込んで取材する資格があるのか、と悩んだこともある」と話す。連載で、非当事者として活動するワインさん(33)の「黙ってきた私たちにも非がある」「何も言わないことは(冊子の内容に)賛成していることと同じ」との意見を紹介した。

 非当事者が理解を深め、支援する重要性を訴えたかったと加地記者。当事者、非当事者を問わず、差別に対する怒りの声を報じることが「記者として果たせる連帯の仕方だと気づいた」。

 取材対象者の過去のトラウマなどについて報じる際、配慮を怠れば対象者を傷つけることにもつながる。加地記者は報道での扱い方を巡り、取材後も対象者と綿密に連絡を取り合うよう意識したと振り返る。「地方紙が地域に与える影響の大きさについても説明を尽くすよう心掛けた」という。

 沢村記者は「性の多様性に関する報道は、これまでゲイの人を取り上げることが多かった」とみる。今後はパン・バイセクシュアルなどについても伝え「性の在り方に苦しむ読者を助けることにつなげたい」と語った。(阿)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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