2022年 9月13日
夏の風物詩 開催の課題検証

徳島「検証 阿波踊り'22」8月18~20日(全3回)

 徳島市の夏の風物詩「阿波踊り」が8月12~15日に開催された。3年ぶりに演舞場を屋外に設けた。太鼓や笛などが奏でるおはやしの音色に合わせ、踊り子らが街中で踊りを繰り広げた。新型コロナウイルス禍のあおりを受け、有料観客席は空席が目立ったという。

 社会部の川辺健太記者、デジタル報道部の谷利彦記者が、阿波踊りの運営団体や地域住民、踊り子らを取材。開催を巡る運営上の課題や経済効果を検証した。

 今年の阿波踊りは、市と地元の経済団体などでつくる実行委員会が主催した。委員会は、事業費約2億円のうち、約1億1千万円をチケットの販売収入で賄う算段で開催したものの、売れ行きが振るわなかった。

 収支の責任は誰が持つのか――。阿波踊りは徳島全体のにぎわいにつながるとして「赤字が出たら市が払うのが当たり前だ」と主張する委員もいる。一方で川辺氏は「公金を投入するなら、透明性と市民の理解が欠かせない」と説く。連載では、委員会がチケットの販売数を明かしていないことを指摘。また、期待した恩恵を得られず嘆く飲食店経営者らの声も伝えた。

 谷氏は屋外開催の背景に「踊り子らの『伝統継承』に対する強い危機感があった」と説明する。コロナ禍で中止や屋内開催が続き、踊りを辞める人が相次いだという。残った踊り子らは「再び街中で踊ることで、阿波踊りを次世代につなぎたいと考えていた」(谷氏)。

 一方、阿波踊りの開催は踊り子らだけでなく、多くの人に影響を及ぼす。連載では、閉幕後の18日に徳島県内の新規感染者数が過去最多になり、地元の医療関係者らが対応に追われる姿を報じた。川辺氏は「誰もが納得できる開催の在り方を模索しなければ、阿波踊りを未来につなぐことができない」と指摘。報道を通じ、その議論の材料となる多様な意見を読者に届けたいと話す。(浅)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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