- トップページ
- 新聞協会報・地域を伝える(旧・記者駆ける)
- 園の未来 市民と共に考える
2023年 1月10日
園の未来 市民と共に考える
十勝毎日「動物園のあるまち――再生へのステップ」12月7~10日(全4回)
北海道帯広市のおびひろ動物園。かつて、道内で唯一のアジアゾウ「ナナ」を見ようとする来園者を全道から集めた。しかし、園はナナが2020年に死亡して以降、新たなゾウを導入していない。「種の保存」などが重視される現代の動物園で新たなゾウを迎え入れることは「繁殖が絶対条件」(柚原和敏園長)。狭く古い現在の獣舎は適さない一方、獣舎の改築は億単位の費用が掛かる。市は費用の面で改築に一歩を踏み出せずにいる。
メディアコンテンツ部の村瀬恵理子主任らは、23年の開園60年に合わせ、ゾウなどの希少動物の減少や獣舎の老朽化といった課題を掘り下げた。市や園関係者への取材だけでなく、市民や来園者などにウェブ調査を実施。全国から1151件の回答が集まった。園の未来を「みんな」で考え、施設の拡充などを図る機運を高める(村瀬氏)ことを狙った。
市はゾウなどの大型の希少な種から、寒冷地や地域にすむ動物の展示に方針を転換。コスト面などを重視する。しかし、調査では世界の希少な動物を「導入してほしい」との回答が約半数に上った。
また、老朽化した獣舎に関し「予算を増やして整備すべき」との回答が8割を占めた。連載はこうした調査結果を紹介。村瀬氏は予算を編成する行政に対し、市民らの声を届けることが大切だと考えたと説明する。
調査によると、獣舎の整備を求める声の一方、「現在の施設で飼育できる動物にシフトすべき」との回答も10・1%あった。方針転換した市の計画で既に導入が決まった「ばん馬」など地域の家畜について尋ねた質問は「足を運ぶきっかけになる」と肯定する回答が過半数を占めた。村瀬氏はこうした声も連載で紹介。市の動きなどと併せて報じることで「園の将来の在り方を考える材料を増やしたかった」と振り返る。(直)
※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)