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2023年 3月28日
学校の労働環境考える契機に
山陰中央「教員不足~それぞれの現場から~」3月4~6日(全3回)
小中学校の教員は部活指導が終わった後、夜遅くまで翌日の授業の準備で残業する。島根大教育学部を卒業し、公務員として働く男性(25)は「教育実習で教員の大変さを実感した」と振り返る。子供のために長時間労働を続けられるかどうか、「ふるいにかけられているように感じた」という。私生活との両立に不安を感じ、教員になることは諦めた。
島根県は2022年度、公立の小中高校で教員の欠員が計32人。過去最多だった。情報部の坂上晴香記者は、報道部(当時)の佐貫公哉記者、政経部の清山遼太記者と取材班を結成。島根大教育学部を卒業し教員にならなかった人らを取材し、教員不足に悩む教育現場の実態を探った。
団塊世代の定年退職が相次いだ一方、新たな担い手となる地域の若者の人数は減っている。こうした状況に加え、過酷な労働環境が教員志望者を減らしかねないと坂上記者。教育実習の経験を巡り「子供と関わりたいと思っても事務作業に追われてばかり。働き方改革とは真逆」だったと訴える元教員志望の女性(24)の声も報じた。
教員の業務効率化を図るべきだとする島根大教育学部付属教師教育研究センター(松江市)の津多成輔講師にも取材。「連絡帳のコメントを教員が毎日手書きする必要はない」との提言を取り上げた。坂上記者は教員が心身を休める時間を増やすことが大切だと指摘する。連載で「自分が健康でないと生徒の未来など考えられない」とする元教員志望の女性(25)の思いも伝えた。
「教員は子供を最優先に考える。同時に教員のワークライフバランスも考慮する必要がある」――。坂上記者は教育現場がこうした葛藤を抱えていると説明。すぐに解消することはできないとした上で「まずは現状を知ってほしい」と話した。(遼)
※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)