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2023年 6月27日
移住通じ自分らしい働き方へ
熊本日日「コロナが変えた仕事、生き方」5月23~25日(全3回)
IT企業社員の東拓郎さん(28)は2021年、出身地の東京から熊本市に移住した。新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、会社が奨励する移住制度を利用。市中心街にある熊本オフィスへの配置転換を願い出た。「5年くらい」のつもりだったものの、暮らし始めると「気ぜわしさが消え、仕事でも心が折れなくなった」。現在は、大自然に囲まれた環境で家庭を持つ将来を見据えている。
熊本県によると21年度に県内に移住した人は2025人で、前年度より405人増えた。地域報道本部社会担当の中原功一朗記者が、コロナ禍を受けて従来と異なる働き方を求め熊本に移り住んだ人や転職者らを取材。人々の価値観の変化を探った。
在宅勤務が浸透したことで「周囲とのつながりが希薄になり、自分の居場所を別の地域や職場に求める人が増えた」と中原記者。東さんの移住も、先に熊本オフィスに移った先輩の「在宅勤務が少なく、職場の人と話せて楽しい」との言葉が背中を押していた。コンパクトな街並みや豊かな自然にも引かれた。中原記者は「地域の交流が多い地方への移住を求める首都圏出身者は今後も増える」とみる。
コロナ禍をきっかけに転職し、完全な在宅勤務でデジタルマーケティングの仕事を始めた女性も紹介した。女性は以前、保険の営業職に就いていた。転職してみて、スーツやパンプスを身に着けるなどして顧客の自宅を訪問することが苦手だったことに気付いた。モニター越しで顧客と商談したり、東京の企業と打ち合わせたりするうちに「何を大事に生きたいのかが見えてきた」。
従来の働き方から変化を求め「自分らしく働ける環境を見つけた人の事例を示したかった」と中原記者。「アフターコロナ」の時代に読者が新たな行動を起こすきっかけになれば良いとの思いを込めたという。(阿)
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