2023年 7月25日
社会全体で支援 意識を醸成

愛媛「ゲーム依存からの回復 愛媛・関東の事例から」 6月26日~7月5日(全9回)

 愛媛県内に暮らすトオル君(仮名)は小学5年生のある日を境に、不登校になった。架空の戦場を舞台としたシューティングゲームにのめり込み、生活が昼夜逆転。深夜、対戦中にいら立つと大声で怒鳴り、壁を殴った。母親がゲーム機を取り上げると「好きでやっとるんやから、いいやろ」と暴れた。シューティングゲームで遊ぶ以前は問題が起きたことはなかったという。

 東京支社の二宮京太郎編集部長は「ゲーム依存症」という言葉が社会に浸透しつつあると感じる一方、ゲームのやりすぎ、家庭内でルールを作って解決すべき問題などのイメージがあるのではないかと指摘。当事者や家族が頼る相談体制も不十分だと考えた。依存症に陥る経緯や実態、治療法などを取材した。

 トオル君は依存症に陥るまで、ほとんど学校を休んだことがなかった。成績は良くスポーツも得意だった。このことを連載で伝えた二宮氏は「問題なく日常生活を送っていた人が、急に依存症になることがある」と説明する。

 当事者が依存症から立ち直る過程にも光を当てた。トオル君の母親が不登校の子供を持つ保護者らの集いで、同じ悩みを抱える参加者に出会ったことを紹介。母親がトオル君に怒るのをやめ「学校は全然行かんでいいよ」などと話す様子も取り上げた。二宮氏は、依存症に苦しむ当事者や家族に「希望を持ってもらうための手掛かりを伝えたかった」と振り返る。

 依存症に苦しんだ経験を持つNPO法人の代表にも話を聞いた。現在はゲーム依存の相談に乗る活動に携わる代表の「社会が依存症に十分に対応できていない」との指摘を伝えた。二宮氏は連載を通じ「支援の受け皿を増やす機運を高めたい」と語った。また、社会全体が依存症への理解を深めることが重要だと強調した。(直)

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