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2024年 1月30日
「炎上」後の現地 記者が歩く
秋田魁「知事発言その後 四国に行ってきました」 12月24~26日(全3回)
魚のすり身を油で揚げた四国の郷土料理「じゃこ天」が売り上げを伸ばしている。きっかけは昨年10月、佐竹敬久秋田県知事が地元経済団体など向けの講演で、じゃこ天について「貧乏くさい」と発言したこと。秋田魁は講演を政治経済部の藤原剣記者が取材していた。発言は直後にSNSで炎上し、知事が謝罪。この発言後に秋田県民がじゃこ天を注文する動きが広がった。秋田県民は「うちの知事がすみません」などのメッセージを注文に添えた。四国と秋田の間では「融和ムード」が高まっている。
藤原記者は11月、知事の失言の影響を分析したコラムを電子版に掲載。融和ムードの中での掲載に「しつこい」「蒸し返すな」といった声が寄せられた。知事の発言の責任を追及してきた藤原記者。「一度視点を変え、四国の人々が秋田県にどのような印象を持ったかを探りたい」と考えた。12月上旬、愛媛県と高知県を訪問。現地の声を取材した。
じゃこ天をもらった人が「『貧乏くさいものをもらった』と思うようなら心外」――。愛媛県宇和島市で創業70年以上のかまぼこメーカーの取締役を務める安岡弘和さんは、知事の発言を聞いて憤り、落胆したと藤原記者に話した。しかし、知事の発言後は、じゃこ天の売り上げが1.5倍になった。そのうち6割は秋田県からの購入だった。
安岡さんは練り物を買う人の「ほとんどが70、80代」と藤原記者に話した。知事の発言をきっかけにじゃこ天を食べる人が増えたことは「ありがたい」と、心境が変化したと述べたという。
藤原記者は漁師にもらった魚を食べ「鮮度抜群。うまくないわけがない」など、自身の感想を連載に盛り込むよう意識したと振り返る。秋田の記者が四国を歩き、感想や考えを書くことで読者に「楽しく読んでほしい」との思いがあったと説明した。(阿)
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