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2024年 4月9日
生徒と教員 男女格差に焦点
徳島「教育とジェンダー 第1部 変わる学校」 2月27日~3月3日(全5回)
徳島県内の公立中学校で女子が生徒会長を務める割合は4割――。徳島新聞が1~2月に実施した調査で明らかになった。県西部の高校に通う女子生徒(16)は、中学校で文化祭の実行委員や部活動の部長を務めた後、生徒会長に立候補した。こうした経験を振り返り「女子だからできないという考えはなかった」と言い切った。
美馬支局の藤川紫音記者は「男女平等の感覚を身に付ける土台となるのが教育だ」と強調する。生活文化部の乾栄里子記者と共に、ジェンダー格差の解消に向けた学校現場の取り組みや生徒の意識の変化などを取材した。
乾氏は、リーダーの適性に性別は関係ないと考える女子生徒の意識は「勝手に醸成されたわけではない」と指摘する。連載では15年ほど前に担任した中学校のクラスで、あえて女子にリーダー役を任せた元教員の女性の経験を取り上げた。当時は男子ばかりが発表の司会などを担っていたという。乾氏はこうした「先人」の努力の積み重ねが人々の価値観を変え、現在の女子生徒の考えにつながっていることを伝えたかったと強調する。
教諭の男女格差にも焦点を当てた。30代の女性教諭は、かつて赴任した小学校で教諭が食べる菓子の買い出しを女性だけが担っていた経験を振り返った。乾氏は「子供は授業以外の教諭の振る舞いも見ている」と掲載の意図を説明する。性別による役割の違いを目にした生徒が、社会に出た後で同様に「男女の役割分担を再生産しかねない」(大学教員)と警鐘を鳴らす指摘と併せて報じた。
冒頭の割合について、連載では「まだ半数には及ばない」と記した。一方、社内には「4割も占めていると受け止める声もあった」と藤川氏。連載を通じ「報道の担い手が持つジェンダーバイアスを見直す契機にもしたい」と語った。(直)
※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)