2024年 5月14日
「普通の人」が罪犯す背景探る

東奥「#闇バイト 県内にも潜む危険」 3月24~28日(全4回)

 犯罪行為の報酬として高額を支払う「闇バイト」。SNSで検索すると「即日即金」「月100万以上稼げます」といった投稿が無数に見つかる。報道部の工藤槙子記者は2月、素性を伏せた上で、闇バイトを募る投稿に「興味がある」とメッセージを送信。1分足らずで返信が届き、通話専用アプリに誘導された。電話に出た男は「稼ぐなら、必然的にグレーな案件になる」と切り出し、特殊詐欺に当たる案件を紹介してきた。

 津軽地方在住の男性が昨年7月、京都市の貴金属店で起きた強盗事件で盗まれた腕時計を東京都内の質屋で売却したとして罪に問われた。事件にはフィリピンを拠点とする特殊詐欺グループが関与したとされる。この裁判を取材した工藤記者が弁護士の協力を得て、闇バイトを募る投稿主に話を聞いた。「普通の人」が加害者側に引きずり込まれる犯罪の実態を探った。

 電話に出た男について「説明にはつじつまが合わない部分もあったが、終始、気さくで丁寧な語り口だった」と連載につづった。男は「徹底的に対策しているので、逮捕されることはない」と強調したという。「冷静に考えれば犯罪と分かる案件でも、言葉巧みに『大丈夫』と納得させられてしまう危うさがあると分かった」(工藤記者)と振り返る。

 連載は闇バイトの募集が絶えない背景に「雇用や社会福祉などさまざまな問題がある」と指摘する専門家の発言を取り上げた。応募者には病気や障害を抱え、生活に困っている人がいるとも報じた。工藤記者は、経済的に困っている人が闇バイトに手を染めず働けるよう「社会全体で保護の仕組みを考えるべきだ」と語った。(阿)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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