2024年 5月28日
町内会 担い手不足の実情追う

高知「自治のかたち 高知市・地域活動の現場から」 4月22〜26日(全5回)

 高知市では1976年から、ごみ集積所に持ち込まれる資源・不燃ごみの分別を町内会に所属する住民が担ってきた。しかし今年3月、市中心部の集積所でごみを分類していたのは住民ではなく、シルバー人材センターから派遣された男性。高齢化などにより、ごみ当番を確保できなくなった町内会がセンターに依頼していた。

 児童や高齢者の見守り活動などを通じ、地域の安全や福祉を支えてきた町内会。人口減などによる担い手不足で、その存続が危ぶまれている。高井美咲地域報道部安芸支局長は「暮らしの土台としての町内会をどう維持するか、立ち止まって考えるべきだ」との思いで取材に当たった。

 ごみ当番をセンターに外注する市内の町内会は10年間で5倍に増加。連載は別の町内会の会長を取り上げた。2年前まで一人で当番を担っており、誰に頼んでも引き受けてもらえず、センターに依頼した。高井氏は「住民頼みの活動が限界を迎えている実情を行政に届ける必要があると考えた」と語る。

 また「未加入者が増えていることが役員ら担い手の不満を高めている」とみる。未加入者による指定日以外のごみの投棄が目立つという、市東部の町内会も取材。警告チラシを張る手間が増えた事例を伝えた。町内会長は、緩くてもつながっている意識を持ってほしいとため息をついたという。高井氏は、加入者の低下が「地域の分断を招いている」と警鐘を鳴らした。

 持続可能な地域づくりに向け町内会が工夫を凝らす事例も取り上げた。高知市蒔絵台の町内会は昨春、ごみ捨てのマナーなどをスマートフォン上のアプリで共有する取り組みを始めた。やり取りの負担を省くため、情報を受け取った住民の返信は不要とした。高井氏は町内会による「地域情報の伝達」について、今後も重要な役割を果たすと強調。蒔絵台の事例を通じ「未来の町内会の在り方を探るヒントを示したかった」と述べた。(直)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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