2024年 7月23日
人手不足の猟友会 待遇改善が鍵

山形「クマと向き合う〜県内最前線」 6月19〜24日(全6回)

 今年に入って5月末までに山形県内の市街地でクマが目撃された件数は25。同時点では過去6年間で昨年に並び最多となっている。6月には西川町で人的被害も起きた。山形市は昨年8月、市街地に出没したクマを駆除する専門のチームを結成した。山形猟友会に所属する会員ら31人が、散弾よりも威力が強いスラッグ弾を使い対策に当たる。

 クマの出没が市内の住宅街で相次ぐ中、報道部の斎藤吉貴記者と村山支社の上村耕平記者が県内自治体の対応などを取材した。上村氏はチーム結成に関わった市の担当者の「クマは、いつ、どこの市街地に現れてもおかしくはない」との声を連載で紹介した。県民と危機意識を共有するとともに、他の自治体に対しクマ対策を強化する参考にしてほしかったと振り返る。

 「なぜ駆除したのか」との苦情が猟友会などへ寄せられたことが取材の背景にあった。連載は、猟友会がクマに人間への恐怖心を植え付ける役割などを果たすと伝えた。斎藤氏は、半世紀近くクマ猟に携わる米沢市の男性を取材。崖の上で対岸を監視していた際に崖下からクマが急に現れ、反射的に引き金を引いたとの男性の経験を取り上げ、駆除に伴う危険を伝えた。

 県猟友会は人手不足や高齢化に直面している。昨年度の会員数は1695人で、ピーク時の約2割。また、2022年度は全会員の6割弱が65歳以上だった。連載は、若手の会員が増えない背景として、狩猟の装備品にかかる費用や、狩猟に興味を持つ若者の減少などがあると報じた。

 こうした中、捕獲時の報酬を成獣1頭当たり1万円から3万円に増額し、猟友会の待遇改善を図る村山市の取り組みを取り上げた。クマの捕獲には、わなを仕掛けたり定期的にえさを交換したりするなど時間と労力がかかると上村氏。「ボランティア精神」で任務に当たる現況を変える必要性を伝えたかったと説明した。(直)

 ※連載はこちらでご覧いただけます。(他社サイトに移動します)

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