2025年 1月14日
交通巡る新制度 需要実態探る

千葉「検証 ライドシェア」 11月21、23、27日(全3回)

 一般ドライバーがタクシー事業者の管轄下で客を有償で運ぶ「日本版ライドシェア」。国土交通省の決定に基づき、千葉県では昨年6月に始まった。11月時点で、千葉市など13市で導入可能となっている。金・土曜の午後4時から翌朝午前5時台までなど、タクシー不足が懸念される時間帯に運行する。終電を逃した人や飲み会帰りの客らがターゲットとなる。

 報道部県政担当の粕谷健翔記者は制度導入時から取材してきた。運行が認められた台数よりも、実際の稼働数が少ないことに疑問を抱いたという。国交省が雨天や酷暑時、鉄道が遅れた際の利用なども見据えて制度の拡充に取り組む中、県内での需要の実態に焦点を当てた。

 連載では制度を活用する運転手に話を聞いた。船橋市や浦安市などで乗務する大学院生は「幼少期から運転手の仕事に強い憧れがあった」と説明。自分の運転で社会貢献できるうれしさを語った。主婦や外国人など運転を担う層が多様化していることも紹介。タクシー運転手だけでなく、幅広い層に門戸が広がったことが制度の利点の一つと捉えた。

 一方で、運転手の数は伸び悩み、制度を続ける上での課題となっている。県タクシー協会は取材に対し、稼働時間の制約に加え「片手間でできると思っている」運転手がいると語った。粕谷記者も「隙間時間で稼ぐ配送と運転業務が同列に扱われる印象を持っていた」と振り返る。新型コロナウイルス禍で減ったタクシー運転手数は回復傾向で、導入の目的である「タクシー不足の解消はおおむね達成された」との協会の指摘も取り上げている。

 「現行の制度は万能とは言えない」と粕谷記者。今後に向けては、地元の交通事情を考慮する必要があると語った。「地域の移動需要を満たす仕組みを丁寧に議論することが重要ではないか」と述べた。(直)

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