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2025年 3月11日
県産品 販路拡大への模索追う
東奥 「新たな挑戦へ 青森リンゴ植栽150年 第1部 海外戦略」 1月1~6日(全5回)
東南アジア・タイの卸売市場に青森県産のリンゴが並ぶ。1個300円ほどで他国産の3~5倍。タイでの主な顧客は富裕層で、贈答用としてのニーズが高い。県や輸出関係者は、県産品のサイズの大きさや色付きの良さなどをアピールし、販路開拓に取り組む。
国外に輸出される日本産リンゴのおよそ9割が県産品。報道部の永野悠太記者は「人口減少による国内消費の先細りが想定される」とし、海外戦略の重要性がさらに高まると考えた。工藤俊介記者とともに、タイをはじめ海外での県産品を巡る動きを追った。
永野記者が取材したタイは、リンゴ輸出量の9割以上を占める台湾と香港に次ぐ第三の市場として定着しつつある。しかし近年、輸出量が伸び悩んでいる。現地の輸入業者は「2024年産の価格は高すぎる」と話す。農家の高齢化に伴う廃業で収穫量が減少傾向にあることなどが、輸出拡大に影響していると伝えた。手頃な価格の小さなサイズを扱い、中間層への販売を増やす必要性を指摘する現地のスーパー担当者の声も報じた。
連載は新規の市場開拓を模索する動きにも着目。商業ベースでの輸出実績がほとんどないインドへの進出を企図する企業を取材した。永野記者は「急速な経済成長が進むインドの市場規模は無視できないと考えた」と振り返る。企業は県産品を高級ホテルなどへ卸せないか現地業者と交渉。現地で売られるリンゴの何倍もの価格で「誰が買うのか」と業者に言われた経験を報じた。小さいサイズを好む食文化の違いがあることも伝えた。
永野記者は、海外への販路拡大は地域の農業経営を支えることにもつながると考える。課題が山積する中で普及の可能性を探る企業などの挑戦も伝えたかったと話す。今後の連載では、安定的なリンゴ産業を支え続けるため、後継者不足や国内の流通状況、省力化に向けた技術開発などを追う予定だ。(直)
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