2025年 4月8日
アーティストの受け止め探る

北海道 「AIが描くアートの未来」 2月18日〜21日(全3回)

 札幌市のアーティストPesMas(ペスマス)さんは、作品を描く過程で生成AI(人工知能)を使う。何を使って創ったかではなく、どう表現するかを重視しているという。芸術など創造性を伴う分野には、著作権を巡りAIに関する法整備を求める声が多く挙がる。新法策定への議論が本格化したことを踏まえ、AIが現場のアーティストらにどう受け止められているか、文化部・美術担当の古川有子記者が取材した。

 生成AIの台頭により、既存のアートや文章などと類似したコンテンツを低コストで作れるようになったことから、著作物への「ただ乗り」批判がクリエーターらから出ている。古川記者も、多くのアーティストが仕事を奪われる危機感や脅威をAIに抱いていると想像しながら取材していた。しかし、ペスマスさんは「何度も指示を出して生成した何千枚もの絵から選択しているので、自分の創作活動と思っている」と胸を張る。現場のアーティストは「自分の創作領域を広げる存在として捉えているのではないか」と感じ始めた。

 印象に残ったのはAI作品を手掛ける草野絵美さんへの取材。草野さんは「人間でも無意識のうちに先人の作品に影響を受けたり、一部を取り込んだりして創作している」と述べた。AIによるアートは、機械が学習した過去の作品データを切り取った完全な「再生産」とのイメージが強かったという古川記者。「完成したAIアートにも、指示出しを繰り返した制作者の表現したい思いがにじみ出るのではないか」と、考えが変化した。

 現場のアーティストがAIを活用しながら創作する場を取材した経験から、「AIアート」は今後、一つのジャンルとして確立されるようになるのではないかと予想する。

 一方、作品の独創性を正しく評価する難しさにも言及。使う側が指示出しに関する情報を残すことが大切だと話す専門家の指摘も載せた。(阿)

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