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2022年 9月13日
関係の検証と清算求める 旧統一教会と政治家

内閣改造 疑念払拭に程遠く

 7月8日の安倍晋三元首相銃撃事件をきっかけに、宗教団体・世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と政治家との関係に注目が集まっている。事件の容疑者は、母親が旧統一教会に多額の寄付をしたことで家庭が崩壊したため、友好団体の集会にメッセージを寄せていた安倍元首相を逆恨みしたと供述している。この後、自民党議員を中心に教団との関係が相次いで明るみに出た。政治家との関わりは、霊感商法や高額寄付などの社会問題を抱える教団の活動にお墨付きを与える格好となっていた。各紙の社説・論説では、教団との関係を巡り批判が相次いだ。

説明責任果たせ

 多くの社が政治家と教団との関係を問題視。「各党は教団との関係を調査し、公表すべきだ」(中日・東京)、「関係する政治家は権威付けや広告塔に利用されていることを重く受け止めるべきだ」(山梨日日)、「国会に調査機関をつくることも検討に値する。自民党はじめ政治の自浄能力が問われている」(下野)、「各党は事実を国民に示し、教団との関係を検証する必要がある」(高知)、「自民党は所属議員らの調査を徹底し、関係を早期に是正する責任がある」(日経)などの指摘が挙がった。

 双方の関係について、熊本日日は「国民の政治不信は急速に膨らんでいる。速やかに関係を絶つしかあるまい」と決別を求めた。朝日も「教団と政治家との関係には濃淡がある」とした上で、岸田文雄首相に対し「関係の清算はより明確に求めるべきだ」と指摘。毎日も「党総裁として半世紀に及ぶ教団と党所属議員のつながりを検証し、関係を清算させるべきだ」と論じた。北海道は「自民党をはじめ各党は実態解明に尽くし、教団との関係を断ち切らなければならない」と指摘。西日本は「関係が次々と表面化している。不適切な関係は政党や政治家が自ら断つべきだ」と迫った。

 産経は「政府や政治家は、疑念を払拭できない教団とは明確に一線を画すべきである」と主張。琉球は「容疑者が事件を起こす背景に、政治との関わりが明らかになった以上、真相を究明して国民に明らかにしなければならない」と強調した。北日本は「それぞれの政治家が説明責任を果たすべきである。各政党は所属議員との関係を検証し、公表してもらいたい」と訴えた。

 銃撃事件から約1か月後の8月10日に発足した第2次岸田改造内閣を巡り、教団との関係解消に向けた首相の本気度に疑問を呈する社もあった。中日・東京は「関係を断つことが前提だが、首相はその姿勢に乏しく、国民の疑念を払拭するには程遠い」と指摘した。北海道は「旧統一教会問題などで内閣支持率が急落する中、人事刷新で局面打開を図る狙いがあるのだろう」との見方を示した。神奈川も「内閣を改造したところで何も解決しない。新内閣の下でうみを徹底的に出しきることができるかが試金石になろう」と評した。沖タイは「霊感商法などが反社会的と批判を浴びる教団と、閣僚を含む自民議員の関係が次々と表面化しているのだ。首相自ら指導力を発揮し、踏み込んだ調査をすべきで重要な問題である」と注文を付けた。徳島も「大幅に顔ぶれを変え、イメージ刷新を狙ったものの中途半端に終わった」とした上で「旧統一教会との決別は掛け声倒れと言わざるを得ない」と断じた。

「宗教2世」らの救済必要

 一方、複数の社が教団信者の親を持つ「宗教2世」ら被害者の救済に着目した。茨城は「苦悩する『宗教2世』の問題も含め、救済に取り組まなければならない。その前提が政界における実態解明だ」とした。長崎も経緯や実態を徹底的に調査した上で「被害者の救済を講じることが政治の責任だ」と論じた。愛媛は「教団が活動の法令順守を強化したという2009年以降も、『浄罪』などとして金品を要求する手法が横行し、昨年までの被害相談額は約175億円にも上る」と指摘。「政治家が広告塔や権威付けに利用された側面は否めず、被害を広げた責任を重く受け止めるべきだ」と述べた。

 旧統一教会を巡る問題に対応する関係省庁連絡会議の第1回会合は8月18日に開かれた。朝日は「小手先の対応だった」とし、この難題に「取り組む覚悟があるのか、大いに疑問だ」と断じた。連絡会議を主宰する葉梨康弘法相は就任後、教団の関連団体が発行する月刊誌にインタビュー記事が08年に掲載されたことを明らかにした。中日・東京は「政権が本気で教団と向き合う気があるのか疑われても仕方がない」と記した。過去に社会問題化した「霊感商法」を巡り、読売は「今も続いているのか。早急に実態を解明し、違法行為があるのであれば、刑事、民事の両面から厳しく対処する必要がある」と主張した。(審査室)

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