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2024年 2月13日
資金透明化と厳罰化を 通常国会 自民裏金事件が焦点

能登地震直後 「異例の状況」

 1月26日に召集された通常国会は、自民党派閥による政治資金パーティー裏金事件を巡り、岸田文雄首相の施政方針演説の前に衆参予算委員会で集中審議を行う異例のスタートとなった。各紙の社説・論説は、「政治とカネ」が焦点となった今国会で、事件の実態解明とともに規制と罰則の強化を訴えた。元日に発生した能登半島地震への対応や少子化対策、持続的な賃上げ、安全保障政策などについても活発な議論を求めた。

改革案示さぬ首相批判

 熊本日日は首相の演説前に集中審議が行われたことについて、「能登半島地震発生直後の今通常国会が『裏金国会』とまでいわれ、首相の施政方針演説が後回しにされる。異例かつ憂慮すべき状況である」と指摘した。新潟は「地震への対応や新年度予算案など喫緊の課題がある中で、『政治とカネ』の問題から審議を始めなくてはならない状況を招いたことを、自民は猛省してほしい」と強調した。

 集中審議では、野党側が政策活動費の使途公開や廃止など資金透明化の具体案提示を求めたことに対し、首相は「政治活動の自由に関わる。各党と真摯に議論したい」などと述べるにとどめた。読売はこれを踏まえ「国民の政治に対する目線は厳しさを増している。かつての金権政治を象徴するかのような資金は改める時期ではないか」と主張した。

 中日・東京は「事件当事者の自民党が主体的に改革案を示すべきではないか。消極姿勢では政治の信頼回復への決意を疑われても仕方がない」とした。北海道も「政治への信頼が失墜し、民主主義が崩壊の瀬戸際にあるという危機感が乏しいと言うほかない」とした上で、「『政治とカネ』の問題にけじめをつけなければ、政策の停滞を招く。国会論戦を通じ、早急に結論を出さなければならない」と断じた。

 中国は「さまざまな論点が出たにもかかわらず、施政方針演説には反映されていない。何のための集中審議だったのか首をひねらざるを得ない」と首相を批判した。神奈川も「謝罪の言葉と改革への意欲は並べられたが、具体的な内容には踏み込まなかった。これでは日程を入れ替えた意味がない」と突き放した。

 改革案に言及した社も少なくない。愛媛は「焦点の一つは抜け穴が多く、ザル法と指摘される政治資金規正法の改正だ」とみた。「議員が連帯して刑事責任を負う連座制導入を求める声は野党のみならず与党公明党からも上がる。首相は『各党と議論していきたい』と述べるにとどめたが後ろ向きは許されない」として連座制の導入を求めた。

 日経も「資金の透明化や『連座制』の適用を含む厳罰化に向けた議論を深め、制度見直しを急ぐ必要がある」とした上で、「ルール違反の厳罰化と合わせて重要なのは、不正なカネの流れを遮断するための公開制度の抜本強化だろう」と論じた。

 信濃毎日は「与野党は政治改革に向けた特別委員会を設けてはどうか。企業・団体献金、政党交付金、調査研究広報滞在費(旧文通費)、政治資金収支報告書の公開方法など改変すべき課題は多々ある」と提案した。

 朝日は「安倍派の幹部ら関係者に、政治倫理審査会や予算委での証人喚問で説明責任を果たさせるべきだ」と訴えた。

 一方、野党に注文を付けた社も複数あった。京都は「野党の連携も問われる。政治とカネの問題が中途半端な幕引きとならないよう、一致点を広げて、実効性のある改革を実現しなくてはならない」と強調した。西日本も「議論の過程で野党連携にも注目したい。政治改革でまとまって対立軸を示せないようでは、次の衆院選で共闘する展望は開けまい」と指摘した。

少子化や外交も議論必要

 能登半島地震については、地元紙の北國が「地震に特化した集中審議の場をさらに増やせないか。先行きの不安を抱える被災者に、光や希望が見える建設的な議論を求めたい」と訴えた。神戸は「被災者に寄り添った対応ができているかを検証し、足りない施策を補うよう促す必要がある」とした。

 毎日は児童手当拡充などの少子化対策について、「持続可能な制度に向けて給付と負担のバランスをどう取るかの議論は置き去りだ」とし、活発な議論を求めた。河北は政府の労働市場改革のための法整備について、「リスキリング(学び直し)支援や日本型職務給には、政策効果や実現性に懐疑的な専門家も多い。より多様な活用モデルを示し、議論を深める必要がある」とした。

 産経は「外交・安全保障も重要な課題だ」とした上で、「国家国民を守るための議論にも、本腰を入れてもらわなければ困る」と注文を付けた。(審査室)

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