新聞の特殊指定見直し表明に関する新聞協会の声明
平成17年11月2日
本日、公正取引委員会は、新聞業をはじめとする「特定の不公正な取引方法」(特殊指定)の見直し作業に入る方針を発表した。
新聞は民主主義の基礎である国民の知る権利に応え、公正な情報を提供するとともに、活字を通じて日本文化を保持するという社会的・公共的使命を果たしている。
新聞業の特殊指定は、差別定価や定価割引などを禁止することにより、その流通システムを守り、維持するために定められたものである。新聞の再販制度と特殊指定は一対のものであり、特殊指定の見直しは、その内容によっては、再販制度を骨抜きにする。その結果、経営体力の劣る新聞販売店は撤退を強いられ、全国に張り巡らされた戸別配達網は崩壊へ向かう。しかしながら、多くの国民は毎日決められた時間に新聞が届けられること、誰もがどこでも同じ価格で、容易に入手できることを望んでいる。
本年7月に施行された文字・活字文化振興法は、「すべての国民が等しく文字・活字文化の恵沢を享受できる環境を整備すること」を基本理念に掲げ、そのための施策の実施を国と地方公共団体に義務づけた。
特殊指定の見直しは、著作物再販の存続を決めた公取委自身の4年前の決定と矛盾するばかりか、文字・活字文化振興法にも背く。官民あげて活字文化の振興に取り組む法制度がつくられた矢先に、時代の要請に逆行するような動きには強く抗議せざるを得ない。われわれは、現行規定の維持を強く求める。
以上